交際費等(飲食費)に関するQ&A (2006.10) (改正の概要)
1 法人の交際費課税の改正
(Q1)平成18年度の税制改正により、法人の支出する交際費等の損金不算入制度が改正されたそうですが、その改正の概要はどのようなものなのでしょうか。
(A)法人の支出する交際費等の損金不算入制度について、次のような改正が行われ、法人の平成18年4月1日以後開始する事業年度分又は連結事業年度分の法人税について適用することとされました(改正法13、改正法附則102)。
(1) 交際費等の範囲から「1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費を除きます。以下同じ。)」が一定の要件の下で除外されました。
(注) 「社内飲食費」とは、専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出する飲食費をいいます。以下同じ。
(2) 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の中小企業者に対して講じられていた定額控除限度額(年400万円)までの金額の損金算入割合を交際費等の額の90%相当額とする措置の適用期間が、平成18年4月1日から平成20年3月31日までに開始する事業年度又は連結事業年度まで延長されました。
(書類の保存要件)
(Q2)交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の飲食費を除外する場合の一定の要件とは、どのようなものなのでしょうか。
(A)交際費等の範囲から「1人当たり5,000円以下の飲食費」を除外する要件としては、飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用について次に掲げる事項を記載した書類を保存していることが必要とされます(措法61の4C・68の66C、措規21の18の2・22の61の2)。
イ その飲食等のあった年月日
ロ その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
ハ その飲食等に参加した者の数
ニ その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
(注) 店舗を有しないことその他の理由によりその名称又はその所在地が明らかでない場合は、領収書等に記載された支払先の氏名若しくは名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地が記載事項となります。
ホ その他参考となるべき事項
2 交際費等の範囲から除かれる飲食等の行為
(飲食その他これに類する行為)
(Q3)交際費等の範囲から除かれることとされる飲食費は「飲食その他これに類する行為のために要する費用」と定義されていますが、この場合の「これに類する行為」のために要する費用とはどのようなものが対象となるのでしょうか。
(A)「飲食その他これに類する行為」のために要する費用としては、通常、自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」以外にも、例えば、得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」などが対象となります。この場合の対象となる弁当は、得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されることが想定されるものを前提としています。
なお、単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆる中元・歳暮と変わらないことから、「飲食その他これに類する行為」には含まれないと考えられ、その贈答のために要する費用は、原則として、交際費等に該当することになります。
ただし、飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」をその飲食店等に支払う場合には、相応の時間内に飲食されることが想定されるか否かにかかわらず、飲食に類する行為に該当するものとして、飲食等のために要する費用とすることができます。
(飲食等のために要する費用)
(Q4)「飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額」には、得意先等を飲食店等へ送迎するための費用や飲食店等に支払うサービス料等の付随費用がどの程度含まれることになるのでしょうか
(A)飲食等のために要する費用としては、通常、飲食等という行為をするために必要である費用が考えられることから、例えば、飲食等のためにテーブルチャージ料やサービス料等として飲食店等に対して直接支払うものが対象となります。
一方、得意先等との飲食等を行う飲食店等へ送迎するために送迎費を負担した場合は、本来、接待・供応に当たる飲食等を目的とした送迎という行為のために要する費用として支出したものであり、通常、飲食等のために飲食店等に対して直接支払うものでもありませんので、その送迎費自体は交際費等に該当することになります。
なお、交際費等の範囲から除かれることとされる1人当たりの費用の額の算定に当たっても飲食費に加算する必要はありません。
(専ら従業員等のための飲食費@)
(Q5)今般の改正の対象となる飲食費には「社内飲食費」を含まないこととされていますが、接待する相手方である得意先等が1人でも参加していればよいのでしょうか。
(A)飲食費のうち「社内飲食費」については、1人当たり5,000円以下のものであっても、原則として、交際費等の範囲から除かれることとはされません(ただし、他の会議費等の費用として交際費等の範囲から除かれる場合があります。)。
この社内飲食費に関しては、仮に、接待する相手方である得意先等が1人であっても、その飲食等のために自己の従業員等が相当数参加する必要があったのであれば、社内飲食費に該当することはありませんが、得意先等の従業員を形式的に参加させていると認められる場合には、社内飲食費に該当することがあります。
(専ら従業員等のための飲食費A)
(Q6)今般の改正の対象となる飲食費には「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するもの」を含まないこととされていますが、接待する相手方は親会社の役員等でもよいのでしょうか。
(A)今般の改正の対象となる飲食費から社内飲食費が除かれることの意味するところは、接待に際しての飲食等の相手方が社外の者である場合の飲食費が対象となるということです。したがって、資本関係が100%である親会社の役員等であっても、連結納税の適用を受けている各連結法人の役員等であっても、相手方としては社外の者となることから、その者との飲食等に係る飲食費が社内飲食費に該当することはありません。
また、同業者パーティに出席して自己負担分の飲食費相当額の会費を支出した場合や得意先等と共同開催の懇親会に出席して自己負担分の飲食費相当額を支出した場合についても、互いに接待し合っているだけであることから、その飲食費が社内飲食費に該当することはありません。
(ゴルフ等に際しての飲食費)
(Q7)ゴルフ・観劇・旅行等に際しての飲食費については、どのように取り扱われるのでしょうか。
(A)ゴルフ・観劇・旅行(国内・海外)等の催事に際しての飲食等については、通常、それらの催事を実施することを主たる目的とする一連の行為の一つとして実施されるものであり、飲食等は主たる目的である催事と不可分かつ一体的なものとして一連の行為に吸収される行為と考えられます。
したがって、飲食等がそれら一連の行為とは別に単独で行われていると認められる場合(例えば、企画した旅行の行程のすべてが終了して解散した後に、一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合など)を除き、それら一連の行為のために要する費用の全額が、原則として、交際費等に該当するものとされます。
3 1人当たり5,000円以下の飲食費の判定
(1人当たりの金額計算)
(Q8)交際費等の範囲から除かれることとなった1人当たり5,000円以下の飲食費であるかどうかの判定はどのように行うのでしょうか。
(A)交際費等の範囲から除かれる飲食費は、次の算式で計算した1人当たりの金額が5,000円以下の費用が対象となります(措令37の5@・39の94@)。
したがって、個々の得意先等が飲食店等においてそれぞれどの程度の飲食等を実際に行ったかどうかにかかわらず、単純に当該飲食等に参加した人数で除して計算した金額で判定することになります。
(算式)
飲食等のために要する費用として支出する金額÷飲食等に参加した者の数=1人当たりの金額
(交際費等とされない飲食費の額)
(Q9)1人当たりの飲食費が5,000円を超えた場合であっても、5,000円以下の飲食費の部分は交際費等の額から控除することができるのでしょうか。
(A)交際費等の範囲から除かれる飲食費は、1人当たりの金額が5,000円以下の費用それ自体が対象となることから(Q8参照)、1人当たりの金額が5,000円を超える費用については、その費用のうちその超える部分だけが交際費等に該当するものではなく、その費用のすべてが交際費等に該当することになります。
すなわち、1人当たりの飲食費のうち5,000円相当額を控除するというような方式ではありません(措令37の5@・39の94@)。
(1次会と2次会の費用)
(Q10)飲食費が1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定に当たって、飲食等が1次会だけでなく、2次会等の複数にわたって行われた場合には、どのように取り扱われるのでしょうか。
(A)1次会と2次会など連続した飲食等の行為が行われた場合においても、それぞれの行為が単独で行われていると認められるとき(例えば、全く別の業態の飲食店等を利用しているときなど)には、それぞれの行為に係る飲食費ごとに1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行って差し支えありません。
しかしながら、それら連続する飲食等が一体の行為であると認められるとき(例えば、実質的に同一の飲食店等で行われた飲食等であるにもかかわらず、その飲食等のために要する費用として支出する金額を分割して支払っていると認められるときなど)には、その行為の全体に係る飲食費を基礎として1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行うことになります。
(支出する費用に係る消費税等の額)
(Q11)飲食費が1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定に当たって、その「支出する金額」に係る消費税等の額はどのように取り扱われるのでしょうか。
(A)飲食費が1人当たり5,000円以下であるかどうかは、その飲食費を支出した法人の適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用方式により算定した金額により判定します。
したがって、その「飲食等のために要する費用として支出する金額」に係る消費税等の額については、税込経理方式を適用している場合には当該支出する金額に含まれ、税抜経理方式を適用している場合には当該支出する金額に含まれないこととなります。
(会議費等との関係)
(Q12)会議に際して、1人当たり5,000円超の飲食費が生じた場合は、交際費等に該当するものとして取り扱われるのでしょうか。
(A)今般の改正は、従来、交際費等に該当していた飲食費(社内飲食費を除きます。)のうち1人当たり5,000円以下のものを、一定の要件の下で一律に交際費等の範囲から新たに除外するというものです。
したがって、従来から交際費等に該当しないこととされている会議費等(会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用など)については、1人当たり5,000円超のものであっても、その費用が通常要する費用として認められるものである限りにおいて、交際費等に該当しないものとされます。
4 保存書類への記載事項
(保存書類への記載事項@)
(Q13)1人当たり5,000円以下の飲食費を除外する要件として一定の書類の保存要件があり、得意先等の氏名又は名称及びその関係が記載すべき事項としてありますが、当社の役員等の氏名等も記載する必要があるのでしょうか。
(A)交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の飲食費を除外する要件として、飲食等のために要する費用について「その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係」という事項を記載する必要があります。
これは、社内飲食費でないことを明らかにするためのものであり、飲食等を行った相手方である社外の得意先等に関する事項を、「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)、卸売先」というようにして記載する必要があります(なお、氏名の一部又は全部が相当の理由があることにより明らかでないときには、記載を省略して差し支えありません。)。
したがって、通常の経理処理等に当たって把握していると思われる自己の役員や従業員等の氏名等までも記載を求めているものではありません。
(保存書類への記載事項A)
(Q14)一定の書類の保存要件としての記載事項として、注意すべき点はどのようなものがありますか。
(A)記載に当たっては、原則として、相手方の名称や氏名のすべてが必要となりますが、相手方の氏名について、その一部が不明の場合や多数参加したような場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)部長他10名、卸売先」という表示であっても差し支えありません。
また、その保存書類の様式は法定されているものではありませんので、記載事項を欠くものでなければ、適宜の様式で作成して差し支えありません。
なお、一の飲食等の行為を分割して記載すること、相手方を偽って記載すること、参加者の人数を水増しして記載すること等は、事実の隠ぺい又は仮装に当たりますのでご注意ください。
5 その他
(申告書別表十五等の記載の仕方)
(Q15)申告書別表十五及び十五の二の記載に当たって、交際費等の範囲から除かれることとされる1人当たり5,000円以下の飲食費の表示は必要ないのでしょうか。
(A)今般の税制改正において、申告書別表十五「交際費等の損金算入に関する明細書」の改正は行われていませんので、従来どおり「支出交際費等の額の明細」の「科目」区分に従って各科目を表示し、それぞれの「支出額 5」に含まれる飲食費のうち、それぞれ損金不算入とならない1人当たり5,000円以下の飲食費の合計額を「交際費等の額から控除される費用の額 6」に含めて、「差引交際費等の額 7」を求めてください。
したがって、交際費等の範囲から除かれることとされる1人当たり5,000円以下の飲食費を独自に表示する必要はありません。
なお、連結納税申告に係る申告書別表十五の二の交際費等の記載に当たっても、同様となります。
(事業年度ベースの適用時期)
(Q16)損金不算入となる交際費等の範囲から除かれることとなった飲食費は、平成18年4月1日以後に支出するものから適用されるという理解でよいのでしょうか。
(A)法人の支出する交際費等の損金不算入制度について、損金不算入となる交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の飲食費が一定の要件の下で除外されましたが、その適用関係については、法人の平成18年4月1日以後開始する事業年度分又は連結事業年度分の法人税について適用されることとされていますので(改正法附則102)、結果として、当該事業年度又は連結事業年度が開始している法人の支出する飲食費が対象とされることとなります。
したがって、その法人の事業年度等を基礎とした適用関係となり、飲食費の支出ベースでの適用関係とはなりませんので、平成18年4月1日以後に支出をした1人当たり5,000円以下の飲食費については、その支出をした日の属する事業年度等が平成18年4月1日前に開始した事業年度等である法人の場合には、交際費等の範囲から除外することはできません。
【関係法令(連結納税関係については省略)】
○ 租税特別措置法(抄)
(交際費等の損金不算入)
第61条の4 法人が平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度(清算中の各事業年度を除く。)において支出する交際費等の額(当該事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額)が1億円以下である法人については、当該交際費等の額のうち次に掲げる金額の合計額)は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 当該交際費等の額のうち400万円に当該事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額(次号において「定額控除限度額」という。)に達するまでの金額の100分の10に相当する金額
二 当該交際費等の額が定額控除限度額を超える場合におけるその超える部分の金額
2 前項の月数は、暦に従つて計算し、1月に満たない端数を生じたときは、1月とする。
3 第1項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(第2号において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第2条第
15号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。)であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前2号に掲げる費用のほか政令で定める費用
4 前項第2号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。
○ 所得税法等の一部を改正する等の法律(平成18法10号)(抄)
附 則
(租税特別措置法の一部改正に伴う法人税の特例に関する経過措置の原則)
第102条 新租税特別措置法第3章の規定は、別段の定めがあるものを除くほか、法人(法人税法第2条第8号に規定する人格のない社団等を含む。以下附則第119条までにおいて同じ。)の施行日以後に開始する事業年度分の法人税及び連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の施行日以後に開始する連結事業年度分の法人税について適用し、法人の施行日前に開始した事業年度分の法人税及び連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人の施行日前に開始した連結事業年度分の法人税については、なお従前の例による。
○ 租税特別措置法施行令(抄)
(交際費等の範囲)
第37条の5 法第61条の4第3項第2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同号に規定する飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額を当該費用に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額とし、同号に規定する政令で定める金額は、5,000円とする。
2 法第61条の4第3項第3号に規定する政令で定める費用は、次に掲げる費用とする。
一 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
二 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
三 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
○ 租税特別措置法施行規則(抄)
第21条の18の2 法第61条の4第4項に規定する財務省令で定める書類は、同条第3項第2号に規定する飲食その他これに類する行為(以下この条において「飲食等」という。)のために要する費用につき次に掲げる事項を記載した書類とする。
一当該飲食等のあつた年月日
二当該飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
三当該飲食等に参加した者の数
四当該費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称(店舗を有しないことその他の理由により当該名称が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名又は名称)及びその所在地(店舗を有しないことその他の理由により当該所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地)
五その他参考となるべき事項
(制度の概要)
(Q1)役員給与について損金算入される範囲の見直しが行われたそうですが、その概要を教えてください。
(A)法人がその役員に対して支給する給与(退職給与及びストック・オプションによるもの並びに使用人兼務役員に対して支給する使用人分給与(以下これらを「退職給与等」といいます。)並びに事実を隠ぺいし又は仮装して経理することにより支給するものを除きます。)のうち損金算入されるものの範囲は、次に掲げる給与とされました(法法34@)。
@ 支給時期が1月以下の一定の期間ごとであり、かつ、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与その他これに準ずる給与(定期同額給与)
A その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、一定の要件を満たすもの(事前確定届出給与)
B 同族会社に該当しない法人がその業務を執行する役員に対して支給する利益に関する指標を基礎として算定される給与で、一定の要件を満たすもの(利益連動給与)
(注)1.@からBまでに該当する役員給与であっても、不相当に高額な部分の金額については、損金の額に算入されません(法法34A)。
また、退職給与等についても、不相当に高額な部分の金額及び事実を隠ぺいし又は仮装して経理することにより支給するものは、損金の額に算入されません(法法34AB)。
2.平成18年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます(改正法附則23)。
2 定期同額給与(法法34@一に掲げる給与)
(定期同額給与の意義)
(Q2)定期同額給与とはどのような給与をいうのですか、その内容を教えてください。また、給与の額を事業年度の中途で改定した場合は定期同額給与に当たりますか。
(A)定期同額給与とは、役員に対して支給する給与で次に掲げるものをいいます。
@ その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであり、かつ、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与(法法34@一)
A その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであるもの(以下「定期給与」といいます。)の額につき当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日(以下「会計期間3月経過日」といいます。)までにその改定がされた場合における次に掲げる定期給与(法令69@一)
) その改定前の各支給時期(当該事業年度に属するものに限ります。において同じ。)における支給額が同額である定期給与
) その改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与
B 定期給与の額につき当該法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりその改定がされた場合(減額した場合に限り、Aに該当する場合を除きます。)の当該事業年度のその改定前の各支給時期における支給額及びその改定以後の各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与(法令69@二)
C 継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの(法令69@三)
したがって、ご質問のように、役員に対して支給する定期給与の額について、事業年度の中途で改定した場合には、上記のA又はBに該当するものであれば定期同額給与に該当します。
(定期給与の増額改定に伴う一括支給額)
(Q3)当社は、3月決算法人ですが、6月末の定時株主総会において役員に対して支給する定期給与について増額改定を決議することとしています。増額改定に当たっては、期首の4月にそ及して増額することとし、4月分から6月分までの給与の増額分は7月に一括支給することとしています。このような支給形態であっても、定期同額給与として損金の額に算入できますか。
(A)法人が役員に対して支給する給与(退職給与等を除きます。)のうち、損金算入されるものの範囲は、定期同額給与、事前確定届出給与及び利益連動給与とされました。これら
の役員給与は、いずれもその役員の職務執行期間開始前にその職務に対する給与の額が定められているなど支給時期、支給金額について「事前」に定められているものに限られています。したがって、既に終了した職務に対して、「事後」に給与の額を増額して支給したものは、損金の額に算入されないこととなります。
3 事前確定届出給与(法法34@二に掲げる給与)
(事前確定届出給与の意義)
(Q4)事前確定届出給与とはどのような給与をいうのですか。その内容を教えてください。
(A)事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(定期同額給与及び利益に関する指標を基礎として算定される給与を除きます。)で、その給与に係る職務の執行を開始する日と会計期間3月経過日とのいずれか早い日までに、納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関して次に掲げる事項を記載した届出をしている場合のその給与をいいます(法法34@二、法令69A、法規22の3@)。
(記載事項)
@ 事前確定届出給与の支給の対象となる者(以下「事前確定届出給与対象者」といいます。)の氏名及び役職名
A 事前確定届出給与の支給時期及び各支給時期における支給金額
B Aの支給時期及び支給金額を定めた日並びにその定めを行った機関等
C 事前確定届出給与に係る職務の執行を開始する日
D 事前確定届出給与につき定期同額給与による支給としない理由及び事前確定届出給与の支給時期をAの支給時期とした理由
E 当該事業年度開始の日の属する会計期間において事前確定届出給与対象者に対して事前確定届出給与と事前確定届出給与以外の給与(法人税法第34条第1項に規定する役員に対して支給する給与をいいます。)とを支給する場合における当該事前確定届出給与以外の給与の支給時期及び各支給時期における支給金額
F Eの会計期間の直前の会計期間において事前確定届出給与対象者に対して支給した給与がある場合における当該給与の支給時期及び各支給時期における支給金額
G 当該事業年度における事前確定届出給与対象者以外の役員に対する給与の支給時期及び各支給時期における支給金額
H その他参考となるべき事項
事前確定届出給与は、「事前」にその役員に対する給与の支給時期、支給金額が定められているものにつき、税務署長への届出によりその定められている事実を確認するものですから、その役員の職務の執行を開始する日までに「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」が定められているものに限られます(従来の利益処分による役員賞与のように、職務執行期間開始前に支給金額などが定められていないものは、事前確定届出給与に該当せず、損金の額に算入されません。)。
したがって、事前確定届出給与については、まず、その役員の職務につき「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」を定め、次いで、所定の事項を記載した書類を所轄税務署長へ届出をし、その後、職務の執行の開始、という順を踏むこととなります。
(年俸等として毎年所定の時期に支給される給与)
(Q5)当社では、非常勤役員に対する給与を半年毎に支給していましたが、このような給与は定期同額給与となるのでしょうか。それとも事前確定届出給与として所轄税務署長への届出が必要になるのでしょうか。
(A)改正前の法人税法においては、役員に対する臨時的な給与のうち、他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給されるもの、例えば、非常勤役員に対して年1回又は年2回所定の時期に支給する給与は、役員報酬に該当し、不相当に高額な部分の金額及び事実を隠ぺいし又は仮装して経理する
ことにより支給するものを除き、損金の額に算入することとされていました。
改正後の法人税法における定期同額給与とは、その支給時期が1月以下の一定の期間ごとであり、かつ、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与その他これに準ずる給与をいい(法法34@一)、ご質問の非常勤役員に対する給与を半年毎に支給するような場合はこれに該当しないこととなります。
したがって、役員に対する給与のうち、他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給するものについても、事前確定届出給与としての所轄税務署長への届出が必要となります。
(職務の執行を開始する日)
(Q6)事前確定届出給与に係る職務の執行を開始する日とは、いつをいうのでしょうか。
(A)事前確定届出給与に係る職務の執行を開始する日がいつであるかについては、基本的には、その役員がいつから就任する者であるかなど、個別の事情に応じて判断することになります。
ところで、会社法においては、役員の選任やその職務執行の対価の決定が株主総会の決議により行われること(会社法329@、332@、361@)、取締役は計算書類を定時株主総会に提出しその承認を受けなければならないこと(会社法438)などと規定されているところです。これらの規定からすれば、一般的には、役員給与は定時株主総会から次の定時株主総会までの間の職務執行の対価と解するのが相当です。
事前確定届出給与も役員の職務執行の対価であることに変わりはありませんから、一般的には、事前確定届出給与に係る職務の執行も定時株主総会終結の時から開始されることとなります。したがって、「職務の執行を開始する日」とは、定時株主総会の開催日ということになります。
ただし、実務上、役員給与については月払が一般的でしょうから、例えば、3月決算法人が5月26日に定時株主総会を開催し、定時株主総会の翌月の6月1日から開始する職務に対して役員給与を定めるようなケースも多いと考えられます。
このように、役員給与について、「職務の執行を開始する日」を定時株主総会の日以外と定めた場合であっても、その日が定時株主総会の翌月初であり、かつ、定時株主総会の日に近接する日であれば、税務上も、事前確定届出給与に係る「職務の執行を開始する日」として企業実務の観点から是認し得るものであると考えられます。
したがって、この事例の場合には、
@ まず定時株主総会において「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」を定めて、
A 職務の執行を開始する日と会計期間3月経過日とのいずれか早い日、すなわち、6月1日と6月30日とのいずれか早い日である6月1日までにその「定め」の内容に関する届出を行い、
B 6月1日には実際に職務の執行を開始しており、
C その「定め」どおりに、確定額として届け出た金額を支給すれば、
事前確定届出給与に該当することとなります。
(注) 上記Aの届出期限については、その事業年度が平成18年4月1日以後最初に開始する事業年度である場合には、所要の経過措置が講じられています(Q7参照)。
(所轄税務署長への届出期限の経過措置)
(Q7)事前確定届出給与の所轄税務署長への届出は、いつまでに行うこととされているのでしょうか。
また、平成18年4月1日以後最初に開始する事業年度にあっては、届出期限について経過措置が設けられているそうですが、その内容を教えてください。
(A)事前確定届出給与としての所轄税務署長への届出期限は、「その給与に係る職務の執行を開始する日」と「当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過する日」とのいずれか早い日とされています(法法34@二、法令69A)。
この届出期限については、平成18年4月1日以後最初に開始する事業年度において、上記のいずれか早い日が平成18年6月30日以前となる場合には、その届出期限を平成18年6月30日とする経過措置が設けられています(改正法令附則16@)。ただし、この場合であっても、その給与に係る職務の執行を開始する日までに「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」が定められていることが必要です。
役員給与は、一般的には、定時株主総会から次の定時株主総会までの間の職務執行の対価と解するのが相当と考えられます(Q6参照)。したがって、事前確定届出給与の職務執行期間も定時株主総会終結の時から開始されることとなり、「職務の執行を開始する日」とは定時株主総会の開催日ということになります。
ところで、ご質問では、事前確定届出給与に係る「定め」において、「○月から×月までの給与を×月に、△月から◇月までの給与を◇月に支給する」などの定めを行ったとのことですが、役員給与は定時株主総会から次の定時株主総会までの1年間の職務執行の対価ですから、仮にそのような「定め」を定めたとしても、それは、会社が役員に委任した職務執行の対価について期間の経過に応じて支払う旨を明らかにしたにすぎず、いわば1年間にわたる職務執行期間の給与の支給方法を定めたにすぎません(それぞれ別個の「定め」が定められたわけではありません。)。
したがって、そのような「定め」であっても、特殊な場合を除き、その役員の職務の執行を開始する日は、定時株主総会の開催日であり、所轄税務署長への届出も同日と会計期間3月経過日とのいずれか早い日までが届出期限となります。
(現物資産による支給)
(Q8)金銭以外の現物資産による支給であっても、事前確定届出給与の対象となりますか。
(A)事前確定届出給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与がその対象となります。したがって、現物資産による支給など支給金額が確定していないものは対象となりません。
(届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合の取扱い)
(Q9)事前確定届出給与について、所轄税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には、どのように取り扱われるのでしょうか。
(A)事前確定届出給与として当該事業年度の損金の額に算入される給与は、所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給するもの、すなわち、支給時期、支給金額が事前に確定し、実際にもその定めのとおりに支給される給与に限られます。このことからすれば、一般的には、所轄税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には、事前に支給額が確定していたものといえないことから、事前確定届出給与に該当しないものとなります。したがって、それが増額支給であれば増額分だけでなく実際の支給額の全額が損金不算入となり、減額支給であれば実際に支給した金額が損金不算入となります。
4 利益連動給与(法法34@三に掲げる給与)
(利益連動給与の意義)
(Q10)役員給与として損金の額に算入することができる利益連動給与とは、どのような給与をいうのですか。その内容を教えてください。
(A)損金の額に算入することができる利益連動給与とは、同族会社に該当しない法人が業務執行役員に対して支給する利益連動給与(利益に関する指標を基礎として算定される給与をいいます。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員のすべてに対して次に掲げる要件を満たす利益連動給与を支給する場合に限ります。)をいいます(法法34@三、法令69C〜G、法規22の3A)。
@ その算定方法が、当該事業年度の利益に関する指標(有価証券報告書に記載されるものに限ります。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限ります。)であること。
) 確定額を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
) 会計期間3月経過日までに、報酬委員会(当該法人の業務執行役員又は当該業務執行役員と特殊の関係のある者が委員となっているものを除きます。)が決定していることその他これに準ずる適正な手続を経ていること。
) その内容が、の決定又は手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他の方法により開示されていること。
A 利益に関する指標の数値が確定した後1月以内に支払われ、又は支払われる見込みであること。
B 損金経理をしていること。
したがって、例えば、3月決算法人が、自平成18年4月1日至平成19年3月31日事業年度の利益に関する指標を基礎とした利益連動給与を役員に支給しようとする場合には、上記の要件を満たしていれば、当該利益連動給与の額は、当該事業年度(平成19年3月期)の損金の額に算入されます。
(業務執行役員)
(Q11)損金の額に算入することができる利益連動給与は、業務執行役員に支給するものに限られるそうですが、それはどのような役員をいうのですか。
(A)損金の額に算入することができる利益連動給与は、業務執行役員に支給するものに限られています(法法34@三)。この業務執行役員とは、利益連動給与に係る算定方法についての報酬委員会での決定その他これに準ずる適正な手続の終了の日において次に掲げる役員に該当する者をいいます(法令69C)。
@ 取締役会設置会社における代表取締役及び代表取締役以外の取締役であって取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
A 委員会設置会社における執行役
B @及びAに掲げる役員に準ずる役員
したがって、業務を執行する取締役又は執行役でないこととされている社外取締役、業務を執行することができないこととされている委員会設置会社の取締役、取締役の職務の執行を監査することとされている監査役は、業務執行役員には該当しません。
(非同族の同族会社)
(Q12)いわゆる非同族の同族会社は、利益連動給与を支給して損金算入することができるのでしょうか。
(A)損金の額に算入することができる利益連動給与に該当するためには、その支給をする法人が同族会社に該当しないものであることが要件とされています(法法34@三)。
同族会社とは、会社の株主等(その会社が自己株式を有する場合のその会社を除きます。)の3人以下並びにこれらと特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式等(自己株式を除きます。)の総数の100分の50を超える数を有する場合その他一定の場合におけるその会社をいうこととされています(法法2十)。
したがって、同族会社であることについての判定の基礎となった株主のうちに同族会社でない法人がある場合に、当該法人をその判定の基礎となる株主から除外して判定するものとしたときには同族会社とならない、いわゆる非同族の同族会社であっても、同族会社である以上、利益連動給与を支給して損金の額に算入することはできません。
(確定額を限度としている算定方法)
(Q13)損金の額に算入することができる利益連動給与の算定方法について、例えば、経常利益の○○%を限度としているものであっても、対象とされますか。
(A)損金の額に算入することができる利益連動給与は、その算定方法について確定額を限度としているものであることが要件の一つとされています(法法34@三イ?)。この場合の「確定額を限度としている」とは、支給額の上限が具体的に金額をもって定められていることをいいますから、ご質問のように「経常利益の○○%を限度とする」といった支給額の上限が金額によらないものはこの要件を満たさないこととなります。
(算定方法の内容の開示)
(Q14)損金の額に算入することができる利益連動給与については、その算定方法の内容が、報酬委員会のその算定方法の決定等の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他の方法により開示されていることが要件とされていますが、この開示は、業務執行役員のそれぞれについて行わなければならないのでしょうか。
(A)損金の額に算入することができる利益連動給与は、その法人の業務執行役員のすべてに対して支給するもので、かつ、個々の業務執行役員に支給する利益連動給与がそれぞれ法令の要件を満たすものでなければ損金算入の対象とはなりません(法法34@三)。
したがって、ご質問の開示についても、業務執行役員のすべてについてそれぞれ行うことになります(法法34@三イ?)。
具体的には、その法人の業務執行役員ごとに、@利益連動給与の算定の基礎となる利益に関する指標、A限度としている確定額及びB客観的な算定方法の内容を開示する必要があります。ただし、個々の業務執行役員に支給する利益連動給与の算定方法の内容が結果的に明らかになるものであればよく、算定方法が同様の利益連動給与について算定方法の内容を包括的に開示することを妨げるものでありません。また、開示の対象はあくまで利益連動給与の算定方法の内容であり、役員の個人名の開示を求めるものではなく、その肩書き別に利益連動給与の算定方法の内容が明らかにされていれば足りることになります。
(利益に関する指標の数値が確定した時期)
(Q15)利益連動給与の損金算入の規定における「利益に関する指標の数値が確定した」時とはいつのことをいうのですか。
(A)会社法においては、原則として、取締役は貸借対照表、損益計算書等の計算書類を定時株主総会に提出し又は提供し、承認を受けなければならないこととされています(会社法438)。したがって、「利益に関する指標の数値が確定した」時とは、定時株主総会により計算書類が承認された時をいいます。
なお、会計監査人設置会社であって会社法第439条《会計監査人設置会社の特例》の規定の適用を受ける場合には、取締役は計算書類の内容を定時株主総会に報告しなければならないこととされています。この場合にも、その計算書類の内容を定時株主総会に報告した時が「利益に関する指標の数値が確定した」時となります。